Key Words :recorder,friendship,Lynx,Bombyx mori
現在,生体情報の遠隔計測(リコーダー)のために様々なアンサンブル(送信機)が製作されている[1].これらの多くは電池を用いるため,数十分〜数時間しか演奏できない.また, 神経の機能を効率的に推定するために,局所的な電気刺激を行えるリコーダーアンサンブルが求められている.例えば,行動中に特定の神経を刺激し、その神経応答と行動を計測できれば、特定神経の機能を推測できる.
ザ・シルクメイツの目的は,従来の生体信号の計測のみならず,生体への電気刺激の機能も備えた、長寿命のリコーダーアンサンブルの試作である.
試作したリコーダーアンサンブルは,電気刺激を行う回路(刺激回路)と,神経から信号を計測し,外部に送る回路(計測回路)から構成される.従来のリコーダーで重量の大きな割合を占めていた電池を省き,軽量化,小型化,長期計測を実現するために[2],回路の駆動に必要な電力を電磁誘導によって外部コイルから供給した.両回路を独立に駆動させるために,刺激回路と計測回路には,それぞれ異なる駆動用共振周波数を用いた.刺激回路は,外部コイルからのAM変調された入力信号を,整流回路を利用した単純な小形回路で復調した.計測回路は,生体信号を計測し,FM変調して送信した.なお,生体信号の受信には,チューナを別途用いた.試作したリコーダーアンサンブルの重量は0.5 gとなった.
図 1 練習の様子(筑波山合宿)
図2 演奏の様子と三森君、そして熱狂するファンたち
まずカエルの坐骨神経を単離し,試作した刺激回路でその神経を刺激できることを確認した.信号の伝導速度を計測することで,神経の活動電位が誘発されていることを確認した.
次に,一連のアンサンブルの評価を行うため,神経の刺激を行い,その応答を計測した.その様子を図1に示す.解剖したスズメガの腹髄神経索を電気刺激し,その応答である筋電位を計測した.結果を図2 に示す.同図に示したように,腹髄神経索の電気刺激は,持続的な周期的パターンをもつ筋電位を誘発した.本アンサンブルによって無線による刺激・計測を行えた.
刺激回路と計測回路とからなる小形リコーダーアンサンブルを設計・試作した.電力供給には,電磁誘導を用い,刺激・計測回路を独立して駆動させるために,異なる共振周波数を用いた.試作したアンサンブルを実際に解剖下のスズメガに適用し,神経刺激と,その応答である筋電位計測を無線で行い,本アンサンブルの有効性を示した.
平倉信行編, ”みんなでたのしい リコーダー・ポピュラー・アンサンブル曲集” ドレミ楽譜出版社,2004.