ぜひ、読んでみて下さい!

出版社:農文協(電話:03-3585-1141)
著者:神崎亮平
絵:茂利勝彦

価格:2,100円

========== 目 次 ==========

  1. 虫のすぐれた運動能力
  2. 虫の五感と記憶能力
  3. においをかぐ器官
  4. 味を感じる器官
  5. 光を感じる器官
  6. 音や気流を感じる器官
  7. 五感を利用して虫をあやつる
  8. 虫の脳と神経のはたらき
  9. ガのオスがメスを探すしくみ
  10. コオロギのメスがオスを探すしくみ
  11. アリがエサをあつめる行動のしくみ
  12. 昆虫をまねたロボットをつくる(1)におい源探索ロボット
  13. 昆虫をまねたロボットをつくる(2)音源探索ロボット
  14. 昆虫をまねたロボットをつくる(3)6本脚で歩くロボット
  15. 微小昆虫ロボットをつくる

========== あとがき ==========

 小さい頃、よく子ども達が虫集めをするようにわたしも蝶や蝉をすこしだけ追ったことがあります。でもそんなに熱中できませんでした。虫は形が変で、気持ち悪いし、さわるなんてとんでもない。蝶や蛾の鱗片はもう、見ただけでじんま疹。何回手を洗ったことか。小さい奴が、手の中でブルブルと動き、脚や翅がぽろりと取れる。いらい虫とは親しくおつき合いしませんでした。この本を読んだ友達にもこんな人、いるんじゃないですか。わたしの仲間ですね。みんなのお父さん、お母さんはどうですか?きっとわたしと同じようなお父さん、お母さんがいっぱいいると思いますよ。だから、小さい頃はプラモデルを組み立てるほうがよっぽど楽しかったのを覚えています。

 こんなわたしが、今昆虫に夢中になっています。よくよく見ると、虫といえども生きてるんですよ。当たり前なんだけど、どうも生きてるとか生命っていうと、人間やかわいい動物だけが持っていて、虫にはないかのように思われがちですね。ゴミ虫なんていうかわいそうな名前をつけられた虫もいますよね。命は大切だ、一度なくなるともうもとには戻らない。でも昆虫の生命の尊厳なんて聞いたことがない。どうしてなんでしょうね?

 今、世界では小さなロボットを作るための研究が始まりました。そのために、何億年も前から小さな世界で活躍する昆虫から、小さな世界のルールをわたしたちは学び始めました。この本ではこんな虫たちの研究の一部をわたしたちが現在行っている研究の流れに沿って紹介しました。虫たちも私たちとおなじように目、耳、鼻、舌を持っていて、その能力を使ってびっくりするような行動をすることや、小さいながらもわたしたちとおなじニューロン(神経)からできた脳を持っていることもわかってもらえましたよね。

 この本を読み終えて、外にでてそよ風を感じ、深呼吸して、地面を歩く蟻、空中を舞う蝶をみてください。いままでとはちょって違った目で彼らを見ることができませんか。そして、ちょっとさわっていたずらをしたくなってきたら、この本を作った目的は成功です。